わたしたちがお預かりに行った時、そのお宅は、もう9月なのに、まだ1月のまま時間が止まったような被害の集落のその奥にありました。そのお宅は両脇とも崖崩れで今まできっと無かった家のすぐそばの場所に小川が流れていました。
「これですが。」と見せていただいた輪島塗は無造作に積まれていて、よくみると泥が被ったものが沢山ありました。土砂崩れで壊れた蔵から輪島塗をなんとかひっぱり出したとか。土砂崩れで輪島塗は泥をかぶっていましたが、持ち主に救い出され、どこか安堵しているようにも見えました。
「いいのだけ持っていくのか?」と来られた近所の方に言われ、「いえ。責任持って全てお預かりします」と全て車に乗せました。この輪島塗を皆さんに見ていただいてもいいですか?とお聞きしたところ。「大丈夫です。」と少し嬉しい顔をされ見送ってくださいました。